追加情報

このページはドン・リチャード・リソ/ラス・ハドソン著「エニアグラム 【基礎編】自分を知る9つのタイプ/【実践編】人生を変える9つのタイプ活用法」と、その原書である"The Wisdom of the Enneagram"の比較をしています。(煩雑になるため、旧訳本の「エニアグラム あなたを知る9つのタイプ【基礎編】」には対応していません。)

書籍名 Amazon
エニアグラム【基礎編】自分を知る9つのタイプ Amazon.co.ja
エニアグラム【実践編】人生を変える9つのタイプ活用法 Amazon.co.ja
The Wisdom of the Enneagram(英語原書) Amazon.co.ja

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タイプ別の解説章の原書と基礎編の比較

以降ではタイプ1の章を例にし、英語原書と日本語版基礎編のタイプ別解説章の最初のページと本文の書き出しページの構成を紹介します。

書籍の印刷は英日版ともに白黒ですが、原書と日本語本訳版で対応する箇所がわかりやすいように、同じ色で示しています。

英語原書と日本語版基礎編共にタイプ別解決章は先頭ページ、TAS診断テスト、本文の書き出しページの順番です。TAS診断テストについては比較するほどの違いはありませんので省略します。

英語(原書)のタイプ別詳細解説章の先頭ページ

英語(原書)のタイプ別詳細解説章の先頭ページ

章のタイトル(茶色)から始まります。下にそのタイプを表す著名人の言葉が書かれています(緑色)。右側(青色)はタイプを一言で表したニックネームです。

日本語版【基礎編】のタイプ別詳細解説章の先頭ページ

日本語版【基礎編】のタイプ別詳細解説章の先頭ページ

章のタイトル(茶色)から始まりますが、章の番号は英日版でずれています。上の四角の中は、タイプを一言で表したニックネームです(青色)。ピンクの部分は、原文では本文の書き出しの見出しになっている箇所です。日本語版では本文と離れた箇所に記述されています。根本的恐れ・根本的欲求・超自我のメッセージ(水色)は原書では本文の欄外に示されています。

英語(原書)のタイプ別詳細解説章の本文書き出しページ

英語(原書)のタイプ別詳細解説章の本文書き出しページ

ピンクのイタリック体(斜体)は、本文書き出し部分の見出しです。その後に本文(灰色)が続きます。右の欄外(水色)は先頭に基本的恐れ・基本的欲求・超自家のメッセージが書かれています。本文に対応する形で、時々「ひとこと」が書かれています(紫色)。書かれていないことや2つ書かれていることもあります。この一言が日本語版では本文の書き出しの見出しのように思えてしまいますが、実際の見出しは先頭ページに書かれています。たぶん、見出しとしては長いため編集したのでしょう。

日本語版【基礎編】のタイプ別詳細解説章の本文書き出しページ

日本語版【基礎編】のタイプ別詳細解説章の本文書き出しページ

本文の書き出しページの最初に、該当するタイプを表す著名人の言葉が書かれています(緑色)。続いて本文です(左の灰色)。本文の前に見出しのように書かれている行は、前述の通り原文では欄外に書かれている「ひとこと」です(紫色)。タイプ6の章のように書かれていないことや、タイプ5の章のように2つ書かれていることもあります。これは間違いではなく、原文に書かれていない、2つ書かれているのがそのまま翻訳されているからです。

欄外の一言は日本語版で全部翻訳されているわけではないようです。翻訳されている部分は下端に位置を合わせています。日本語書籍では珍しい編集ですが、下の位置に合わせている文章は、原書では欄外に書き添えられている部分と理解できます。

個人的な考察

私の意見や考えは、その都度見出しの後にヒントとして残しています。しかし、一部は翻訳全体に及んでいるため、複数ヶ所に関わる意見などは、ここにまとめて記しておきます。

「今、ここ」の考察

和訳の中に、「今、ここ」が多用されています。大抵の場合、原文は殆どの場合、"present"です。まれに"presence" ですが、意訳されすぎている部分では両単語もないことがあります。

人間は現時点に意識があったほうが、しっかりと認識し、正しく振る舞えるものです。そのため、成功哲学から引き寄せ、宗教や哲学、瞑想に催眠音声など、いろいろな修練で意識を現時点に留める、つまり過去や将来に気を逸らさずに、その人がいる場所、「今」という時間に意識を置いておくワークやエキササイズ、誘導が行われます。本書も同様です。

意識を現時点に置くように誘導するため、"here and now"という言い回しが英語ではよく使われます。「今、ここ」と訳せます。原書著者のお二人、翻訳しているお二人と私の意見・認識はたぶん同じで、通常は「意識が現時点に留まる」=「今、ここに存在する感覚」なのです。

そのため、"present"や"presence"を「今、ここ」と訳す、もしくは現時点にいるという文脈で「今、ここ」という言葉を使用することは個人的には理解できるのです。しかし私達がそう考えているからと言っても、すべての人・すべての状況で現時点に意識があることが、「今、ここ」という感覚であるとは限りません。

私は現時点に意識をとどめているほとんどの人は、「今、ここ」の感覚を感じると「推考」していますが、一部の人は別の感覚を感じているかも知れません。「今、ここ」とは、時間と空間を指しています。ある人は特に時間で「現時点」を感じているかも知れません。別の人は特に空間(位置)感覚で「現時点」を感じているかも知れません。また、体感覚で「現時点」を強く感じる人もいるかも知れません。

また特殊な場合では現時点にいる感覚が「今、ここ」ではないかも知れません。たとえば、意識は現在にあるが感覚が地球の大きさだとか、宇宙の大きさだとかを「体感」していることもあるでしょう。そうした場合、「ここ」を基準に考えてしまうと「現時点」にはいないことになります。しかし、本人の意識ははっきりとしており、集中力もあるのであれば、現時点に意識があると考えるべきで、「ここ」という限定された条件を加える必要はないと思われます。

ですから、現時点(present)に当たる箇所や、書籍中で説明してある通りに「真髄や存在(presence)の発現により意識が現時点に留まるようになる」としても、すべての箇所で「今、ここ」という言葉を使用するのは反対です。それは特定の感覚・解釈を読者に押し付けていることになります。

また原書中、ごくまれに"here and now"と書かれているところがあります。それは表現上のバラエティを付けるためだけで意味合いは同じかも知れませんし、意識を誘導するための表現かも知れません。もしくは、ニュアンスの違いがあるため意図的に原著者の二人が使い分けているのかも知れません。その判断は本来読者が行うべきで、翻訳者がそれを噛み砕く必要はないと思います。(これは、英語的な表現をこなれた日本語に訳すのとは別の話です。)

別の大きな理由として、「今、ここ」という記述が多すぎ、また常に括弧で囲われ強調されているために、文章中で目立ちすぎることです。大抵の場合、原書中で強調されていません。もうひとつの理由は、感覚を説明する箇所であればともかく、理論的な説明の部分では「今、ここ」という具体的な感覚的表現の使用はそぐわないと感じているからです。「現時点」や「この瞬間」という訳語がぴったり合います。

「成長へのチャレンジ」の階層構造

見出し「成長へのチャレンジ」、原文は"THE 〜'S CHALLENGES TO GROWTH "は、次のような構造になっています。タイプ1を例に取ります。

      + 成長へのチャレンジ
        + タイプ1にとっての「目覚めの注意信号」:強い個人的責任感
          + 社会的役割:教育する人
          + 怒り、憤慨、フラストレーション
          + 理想を追求する
          + 目的意識と進歩
          + 「正しく在ること」、問題の指摘
          + 秩序、一貫性、時間厳守
          + 自制心と自己抑制
          + 批判的であること、裁くこと
          + 「内なる批判者」と完璧主義
    

「成長へのチャレンジ」の見出しの原文は、和書で言うゴシック体で欄外に太字ではっきりと書かれています。(変則的な編集です)

次の「タイプ1にとっての「目覚めの注意信号」:強い個人的責任感」の原文は、全て大文字の見出しです。(和書で言う明朝体)

その下のレベルの見出しは、和書で言う明朝体の斜体で書かれています。

斜体の見出しで始まるたくさんのセクションは「普通」の状態を説明しています。原文は"avarage"で実際は「平均的」な感情状態の説明です。私たちが一番多く当てはまる状態です。この書籍はリソ/ハドソンの書籍の中でも変容(トランスフォーム)が主題です。健全な感情状態なら、あまり変容は求めないでしょう。不健全な感情状態であれば自分の状態を引き上げるというアイデアはあまり思い浮かべないでしょう。必然的に変容を求める読者は「平均的」な感情上代だと推考されます。ですから、読者ターゲットに絞り込んで、「平均的」な状態がたくさん説明されているのだと、私は考えています。

ただ、迷いとしては、斜体の見出しのセクションが、目覚めの注意信号の下に入れているのが正しいのかどうかです。もしかしたら、以下のように目覚めの注意信号と同じレベルとして考えたほうが良いのではないかと思っています。

      + 成長へのチャレンジ
        + タイプ1にとっての「目覚めの注意信号」:強い個人的責任感
        + 社会的役割:教育する人
        + 怒り、憤慨、フラストレーション
        + 理想を追求する
        + 「内なる批判者」と完璧主義
         (以下省略)
    

「全部大文字の見出し > 斜体の見出し」という理解は通常正しいと思います。この書籍でもタイプ別の章以外の箇所では、この関係で意味が通ります。ただ、タイプ別の章の「成長へのチャレンジ」の部分では、「特徴の説明」だとわかりやすいように斜体を使った可能性も考えられます。とても細かいポイントで、私がタイプ5の平均的な性格の囚われから、まだ抜け出せていないからでしょう。たぶん、このサイトを作り、解説している立場上、必要以上に正確に理解・説明したいと思っているからです。

ただ、「成長へのチャレンジ」の見出しの後に書かれている1段落の内容には、注意を払ってください。私たちの多くが当てはまる平均的なタイプの特徴を細かく説明しているのは、私たち自身がそれに気づき、性格の自動反応パターンから抜け出すためであることです。実践編の最初に書かれている、『「観察し、手放す」ことを学ぶ』のまさに実践です。

長くなったので要約すると、著者のお二人の考えが、普通の特徴の多くはそのタイプの人にとって「目覚めの注意信号」になっているという考えであれば、各特徴は「目覚めの注意信号」の下にきます。「目覚めの注意信号」としてはその見出し下の文章だけであり、各特徴は「成長へのチャレンジ」のためのものであるという考えであれば、「目覚めの注意信号」の見出しと各特徴の見出しは同じレベルになります。正直、どちらでも大差ありません。

なお、お気づきの方も多いでしょうが、各タイプの平均的な特徴を説明しているセクションの最初は、社会的役割の説明です。2つ目は古典的なエニアグラムでもよく扱われる"Passion"(大罪、囚われ)の説明で、ここだけが基礎編で訳されています。基礎編:P.45の九つのとらわれで一覧となっています。このPassion以外の特徴は、実践編で訳されています。

3つ組のチャート

このチャートはリソ/ハドソンの3つ組をまとめたものです。他のサイトで公開しているものを今回出版された2冊に用語を合わせ、変更しました。

センターと社会的スタイルは基礎編で、ハーモニクスは実践編で説明されています。対象関係の3つ組は"Understanding the Enneagram"のP.315"The Dominant Affect Group"で説明されています。以下の説明は説明が簡略なため、かつて発売されていたリソ/ハドソンのエニアグラムを一覧にまとめたPDFのものを使用しています。

対象関係の3つ組は情動を引き起こす、性格の最も主要な障害。主に使用する情動。
主要な情動は、人生全ての領域でもたらされる無意識の感情的な背景を明らかにする。
固着のタイプ(3・6・9)は、自分に役立つ環境・人・ステータスに対して深く固執する問題を抱える。3は確証を求め、他人からのポジティブな注目へ固着する。6は安全安心の感覚を求め関係・グループ・信念に固着する。9は良い状態ーコンフォートゾーンの内部感覚へ固着する。
不満は欲求不満のことで、このタイプ(1・4.7)は探しているものが見つけられない。つまり以前は欲求に対する解決策であったと思えたものに幻滅する。1は世界があまり公平で正気でないことに、4は「必要なものが絶対に手に入らないこと」に、7は完全な満足を経験しそこねたことに欲求不満を感じる。
拒絶のタイプ(2・5・8)は、拒絶される人生を予期しており、この感情から様々な防衛手段を取る。さらなる拒絶の防衛策として、サービスや能力を他の人へ提供する。そのため、2は他の人を楽しませなければならない感じ、5は特別なスキルを身に着けなければならない感じ、8はパワフルでいなければならない感じを拒絶できない。

3つ組のチャートを表形式で表したものです。

タイプ愛称センター社会的スタイル対象関係ハーモニクス
1改革する人本能追従不満合理的
2助ける人フィーリング追従拒絶楽観的
3達成する人フィーリング自己主張固着合理的
4個性的な人フィーリング遊離不満反応的
5調べる人思考遊離拒絶合理的
6忠実な人思考追従固着反応的
7熱中する人思考自己主張不満楽観的
8挑戦する人本能自己主張拒絶反応的
9平和をもたらす人本能遊離固着楽観的

各タイプにおける実践とセラピーの戦略

この一覧は2冊や原書に含まれているものではありませんが、エニアグラムを実際の対処や治療に役立てている方に便利でしょうから、紹介します。この表はリソ/ハドソンの著作、Understanding the Enneagramの279ページに書かれています。

この表の内容を具体的なアドバイスにしたものが、基礎編の各タイプの「成長を助ける実践」としてまとめられているわけです。これらの実践がどうして有効なのかを説明しているのが、"Understanding the Enneagram"の"Therapeutic Strategies and the Center"のセクションです。このセクションは"The Centeres"の章に含まれています。以下の表の内容と基礎編の「成長を助ける実践」を比べてみれば、巧妙に以下の戦略が練り込まれているのがわかります。

タイプ 集中すべき通常の実践 追求するセラピー上の戦略
タイプ1 静かな心(mind)を養う 感情・感覚(feeling)、特にフラストレーションと鬱積した憤りを心痛し、処理できる戦略
タイプ2 静かな心(mind)を養う 体の中でブロックされたエネルギー、特に押さえつけているニーズと敵意を開放する戦略
タイプ3 心(heart)を開く 感情・感覚(feeling)、特に不適当さと恥を心痛し、処理できる戦略
タイプ4 身体に根ざす 歪んだ思考パターンと知覚、特に自身と他人に対するネガティブな解釈をリフレームする戦略
タイプ5 身体に根ざす 感情・感覚(feeling)、特に拒絶と無用さを心痛し、処理できる戦略
タイプ6 静かな心(mind)を養う 歪んだ思考パターンと知覚、特に不安と投影により起こされたものをリフレームする戦略
タイプ7 心(heart)を開く 体の中でブロックされたエネルギー、特に押さえつけている悲しみと後悔を開放する戦略
タイプ8 心(heart)を開く 歪んだ思考パターンと知覚、特に不安を否定することと弱みをリフレームする戦略
タイプ9 身体に根ざす 体の中でブロックされたエネルギー、特に押さえつけている激怒(rage)と不安を開放する戦略

注意として、この表のセラピー戦略は、平均的(通常)の感情状態の方に適用するものです。不健康の領域にいる人々には役に立たないだろうと書かれています。(簡単に説明すると健全な状態は3つのセンターのバランスが取れており、不健全は3つともバランスが崩れている。通常の状態は1つないし2つのセンターのバランスが崩れている。)

表を見るとわかると思いますが、「集中すべき通常の実践」はホーナイの社会的スタイルに対応しています。4・5・9の遊離グループは身体と結びつくことが、1・2・6の追従グループは心(mind)を静かにするように取り掛かること、3・7・8の自己主張グループは心(heart)を開くことが、それぞれ必要とされています。

「追求するセラピー上の戦略」はハーモニックの3つ組に対応しています。1・3・5の合理的グループは、感情・感覚(feeling)を受け入れるワークが必要です。悲しみの瞬間を経験することを自分に許し、ブロックされていた感情・感覚を解放することが、成長の触媒となります。4・6・8の反応的グループには心を静め、考え方や知覚をリフレーミングする実践です。リアリティに対する知覚や解釈の中に歪みがあることを認めることが、成長の触媒となります。2・7.9の楽観的なグループには体に根ざし、体に閉じ込められているエネルギーはどんなものでも流し去る事を目的とする戦略です。体の感覚を直接的に経験することにより、体にとどまっている不安と感情的なブロックを開放する実践が、成長の触媒となります。

「集中すべき通常の実践」は毎日実践するメインの実践です。これは各タイプの中で一番未発達なセンターを開発するために行うものです。「追求するセラピー上の戦略」は、メインの実践に沿って、性格のもつれをほどく必要性に焦点をおいた実践です。それぞれ未熟なセンターに照準を合わせていますが、3・6・9の基本的タイプでは、メインと2番めの実践で働きかけるセンターは同じものになっています。(平均的な状態で、基本的なタイプ(3・6・9)は所属するセンターが全く使われていないため、健全な状態に向かうにはそれを開発する必要がある。それ以外のタイプ(1・2・4・5・7・8)ではメインとサブとして使用されていない、第3のセンターを開発する必要がある。)

各タイプのセキュリティーポイント

日本語版ではなく原書がそうなのですが、セキュリティポイントの説明はされているのに、各タイプの具体的なセキュリティポイントが載っていません。各タイプのセキュリティポイントの記述は、既に紹介しているリソ/ハドソンの別の書籍、Understanding the Enneagramで説明されています。

これは片手落ちだと思います。そこで、セキュリティポイントの部分のみ紹介します。こなれた日本語にしすぎると、原書の意味合いからずれることがあるので、原文を活かしたバタ臭い訳です。ご了承ください。

タイプ 説明
タイプ1 平均的なタイプ1は、タイプ7の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。馴染みのある環境では、タイプ1はくつろぎを好み、粗暴でより活発な側面を見せることがあります。ミッション間の短いリラックスタイムで、彼らはタイプ7のように散漫になり、余暇を過ごすのに最適な方法やメニューで何を注文するかを知らぬまま、限られた時間に多くの経験を詰め込もうとします。タイプ1はそうしても安全であると感じるなら、非常に面白いことをしたり、人々にショックを与えたりするのが好きです。(そして、彼ら自身のイメージに逆らいます。)
タイプ2 平均的なタイプ2は、タイプ4の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。そのような時に、タイプ2の孤独とガツガツした欲求の真の度合いが明らかになります。彼らは気まぐれになることがあり、より親しくない知り合いには見せることのない気難しく、自分に夢中になり、自己憐憫の部分を表すこともあります。
タイプ3 平均的なタイプ3は、タイプ6の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。そのような時に、タイプ3の自己疑念、悲観、不安の真の度合いが明らかになります。愛する人に対し、タイプ3はより親しくない知り合いには見せることのない、彼らの仕事プロジェクトについての不満、恐怖、欲求不満のくどい話を伝えよう(download)とするかも知れません。
訳注:2000年に書かれた書籍で、当時の回線は今よりだいぶ遅く、ダウンロードなどは長い時間がかかるイメージがあったと思われる。それを比喩として表現したものと思われる。
タイプ4 平均的なタイプ4は、タイプ1の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。タイプ4は優れた態度や一人でうまくやれる感じを取ることができる一方で、他の人を批判したり、小言を言ったりします。彼らは完璧主義者に近づくにしても、詳細に口うるさくなることもあります。そのような時に、タイプ4の欲求不満と共感不足の本当の度合いが明らかになります。タイプ4は自分自身や人生の多くに対する不満を、重要な親密な人にぶちまけるかも知れません。
タイプ5 平均的なタイプ5は、タイプ8の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。彼らは極端に断言的で挑戦的になり、人々の境界を押しのけながら、自分の境界は攻撃的に守ります。不同意や他者によるコントロールへの恐怖は、タイプ5の平静を失わせることがあります。そのような時に、タイプ5の根底にある怒りと拒絶感と無力感の程度が明らかになります。
タイプ6 平均的なタイプ6は、タイプ9の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。彼らは他の人から離れ、物分りが悪くなり得ます。基本的にシャットダウンします。「私は物事をまとめようと、とても長い間全てのことを世話しようと、必死に働いてきました。今、何かをする必要はありません。あなたに応答する必要はありません。」という気持ちです。信頼している他の人に対して、タイプ6は自身に「無感覚」であることを許し、それ以上の責任に対処することを避けます。
タイプ7 平均的なタイプ7は、タイプ5の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。タイプ7は自分の交際範囲や職場でしばしば、エンターテイナーや活気づける人になる習慣を持つようになり、接触、会話、良い時間を楽しみます。しかし、親密な人や近い友人がいると、彼らは奇妙に孤立し、うわの空になってしまうかも知れません。実際、そうした近い彼らから距離を取り、孤立することを要求します。彼らは平均的なタイプ5のように彼らの主体性を守る方法として、親密な人との接触から引っ込み隠し立てし、関係に区切りを作るか、仕事のプロジェクトに我を忘れるかも知れません。
タイプ8 平均的なタイプ8は、タイプ2の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。そのような時、タイプ8は他の人に彼らがどれだけ必要かを認めさせようとするかもしれません。タイプ8は彼らが必要としていることで安心したいため、彼らが面倒を見ている人々に良い物事を提供するために自分たちのやり方から外れます。(「君にはもったいないなんてことないよ。」)同様に、安全な環境ではタイプ8は子供やペットの無邪気さに特に感動し、彼らの世話をしたいという感傷を恥ずかしがらずに表すことがあります。
こうした振る舞いは、親密さや養育に対する、タイプ8の根底にある拒絶の感情と抑圧されたニーズと同時に、失った自分たち自身の無垢さに対する悲しみを明確に作り出します。
タイプ9 平均的なタイプ9は、タイプ3の平均的な行動を「行動化」することもありますが、通常は信頼できる友人や親密な人に対してです。タイプ9は他者に受け入れられ、関係を維持したいため、この目的のために、彼らは平均的なタイプ3のように他の人の期待に合わせ始めるかもしれません。タイプ9はイメージや外観の問題に気を取られたり、他の人を魅了するような振る舞いをしたりするかも知れません。安全と馴染みのある条件を持つことは、彼らの中の目標指向の仕事中毒の傾向を引き出すこともあるでしょう。親密な人に対して、タイプ9はより自己陶酔的に振る舞い、注目の的になりたがり、他人の興味を楽しむリスクを取ることがあります。

© 2019 Hirohisa Kawase, All rights reserved. 英文は"The Wisdom of the Enneagram"からの引用で、Don Richard Riso氏とRuss Hudson氏の著作物です。日本語見出しは、「エニアグラム【基礎編】」エニアグラム【実践編】」からの引用で、高岡よしこ氏とティム・マクリーン氏による翻訳です。